レイとシンが幼なじみ設定です。それでもOKな方はどうぞー。









































久々の休暇がとれた今日、俺は机の整理をしていた。

しばらくしていなかったせいか、思った以上に荷物が多くなっている。

普段から整頓などは怠っていなかったが、隅々まで整えるのは久しぶりだ。

普段は触る事のない引出しも、今日は開けて中身を整理しよう。

そう思い、開ける機会のなかった引出しを開けた。

中身をとりだすと、そこには数冊の本。

こんなものもあったな、と記憶を思い出す。

そんな時に、カサっと何かが落ちる音がした。

気に留めて、下を見回す。すると、思わず微笑みを作り出すものがそこにはあった。

「懐かしいな」

そう呟くと落ちているそれを手にし、笑う。

本の中から落ちてきた、四葉のクローバーを押し花にして作ったしおり。

ガラにもなく押し花を作ったあの日を鮮明に思い出す。

そうあれは確か・・・シンと俺がまだ8歳頃の幼い時だった。
























「シン、何をしてるんだ?」

いつも一緒にいるはずのシンがいない事に気づき、辺りを探していた俺は地面に顔を埋めそうなくらい近づけているシンをみつけて言った。

俺の声を聞くと、シンは笑顔で地面から顔をはずして答える。

「四葉のクローバー探してるんだよ」

「クローバー?」

シンの言葉を聞き、辺りを見回してみると確かにクローバーが一面生えている。

何をしていたのかと思えば・・・そんなことか。

俺は呆れたようなため息をだすとシンの隣にしゃがんだ。

「みつからないのか」

「うん、なかなかみつからない。ま・簡単に見つかったらつまんないけどね」

そう言いながらも手で探りながらシンは必至に目を光らせている。

「なぜそんなものを探してるんだ?お前は」

「そんなもんって・・・!四葉のクローバーは幸運をもたらすって言うだろ!」

俺の言葉に少しムっとした表情でシンは言う。

そんな話を信じているシンがおかしかったが、ここは話を合わせようと思った。

「そうだな・・・。一緒に探してやるよ」

「え!?レイが!?」

シンは驚いたのか目を丸くして俺をみた。

「おかしいか?」

そんなシンの様子をみて素直に聞いてみる。するとシンはちょっと戸惑った表情で言った。

「いや・・てっきりレイはそういうの、信じないと思ってた」

・・・・・意外と鋭い事をたまに言ってくる。

時々核心をつくようなシンの言葉はたまに俺を驚かせる。

もちろん、そんな事シンに言う訳もないけれど。

「そうゆうの・・・・・信じたくなる時もあるんだよ」

「ふ〜ん、そうゆうもん?」

シンは納得したのか頷きながらそう言った。素直になんでも信じやすいシンは嫌いじゃない。

たまにこんな嘘をつくのも、悪くはないなと苦笑する。

シンといると気を使わないでいられて、どこか安心感がある。

大人をみていると、醜い感情ばかりが感じられて嫌気がさす。

同じ歳の奴等といても、影で彼等が俺の悪口をいってるのが雰囲気でわかってしまう。

自分達よりも、成績がよかったりするだけで、そういう陰口を言うものだから呆れてしまう。

結局、人との交わりなんて薄っぺらいものなんだと俺は理解した。

だけど、シンは違う。シンだけは真直ぐでどこまで真っ白な心をしている。

何より、あの笑顔が純粋で汚れがないと俺は思う。俺が初めて認めた奇麗な人間なんだ。

「ほら、クローバー探すんだろ?暗くなる前にみつけるんだ」

俺が立ち上がってそう言うと、シンは満面の笑みで頷いた。

あ・・・・・・・・。

今の笑顔は、誰にも譲れない。心のそこでそう思った。

そんなシンのためにも、みつけてやろうと思い俺はたくさんのクローバーに目を向ける。

意外とみつからないもので、結構苦戦した。

シンのほうをみてみると、また顔を地面に近づけて食い入るように見ていた。

しばらく、探していた俺達だったがなかなか発見することができない。

すると突然シンから大きな声が聞こえた。

「あ〜〜〜〜〜もう!!!!イライラするーーーーー!!!!!」

そう言って辺りのクローバーをむしりとると、空にむかって投げた。

そんなシンの行動に俺は思わず笑ってしまう。

「何笑ってんだよ!」

機嫌が悪いシンはそんな俺の態度が気に入らないのか、不満そうな顔をむける。

「いや、シンらしいなと思って」

そう言いながら俺はシンに落ちたクローバーをはらってやる。

真上に投げたため、結局全て自分に降り注いでしまったのだ。

そんな事態もおかしくて俺は思わず微笑んでしまう。

「あー最悪ー」

まだ悪態をつくシンをよそに、頭にのっているクローバーをはらおうとした時だった。

「シン・・・・」

「何?」

「あったぞ・・・・」

そうしてシンの頭の上にのっていた四葉のクローバーを差し出した。

その途端シンは目を輝かせ瞬きせずにクローバーを見つめる。

「すっごい嬉しい・・・・!!!」

俺はシンにクローバーを渡すとにっこり笑った。

「シンにやるよ」

「本当!?・・・・・・あ、でも・・・いいや」

「え?」

意外な言葉に俺は思わず聞き返す。

あんなに必死に探していたのはシンのほうなのに、一体どうゆう風の吹き回しなんだろうか。

「レイが持っててよ」

「俺が?」

「そ・レイが!」

そう言ってシンは俺にクローバーを渡すと笑った。

「俺はいらない。シンがずっと探していたんだろ?」

「・・・・そりゃ探してたんだけど・・・」

シンが俯きながらそう言うので、俺は不思議に思い顔を覗き込む。

そこには赤いリンゴのようなシンの顔。

「レ、レイに・・・あげようと思って探してたから・・・・」

「俺に?」

予想もしていなかった言葉に俺は驚いた。

「レイには嫌な事おきてほしくないからっ・・・!」

そう言ったシンに俺は笑った。

「なっ!俺は本気で言ってるんだ!」

シンには・・・敵わないな。

「ありがとう、もらっておく」

微笑んでそう言うと、シンは少し恥ずかしそうに笑った。

こんな事をしてくれるなんて、思ってもみなかった俺は今まさにシンから幸せをもらった気がした。

今はまだ、大人ではないけれど、いつかシンを守れるような男になったらこの幸せを倍で返そう。

だから俺は、ずっとシンにふさわしい男になって、ずっと側にいよう。

この四つ葉のクローバーに誓って・・・・・・。
























「レイ?何してんの?」

後ろからシンの声が聞こえて、俺は持っていたしおりから目を離し、シンをみた。

「机の整理」

「へ〜、そんな必要ないと思うけど。いっつも奇麗じゃん」

「気分が違う」

「そうなの・・・?」

シンは可笑しそうに笑って言った。

面白いことなど言ってはいないと思うが・・・・。そんな疑問を思いつつもシンの笑顔に見惚れる。

「なぁ、レイ・・・・好き」

「どうしたんだ?いきなり」

突然のシンの言葉に俺は笑って言った。

「なんか今、急に言いたくなった」

やっぱり・・・・・シンには敵わないな。

思わず笑顔が零れる。

いつまでたっても、俺はシンから幸せをもらってばかりだ。

「俺はいつになったらお前を幸せにできるんだろうな・・・・」

思わず呟いた言葉にシンは少し驚いた表情をした。

「何言ってんだよ。俺はもういいってくらい幸せだ!」

叫ぶように言ったシンの瞳を俺はみると、微笑んだ。





案外、幸運をもたらす四葉のクローバーとゆうのも、あながち嘘ではないのかもしれない。






俺は笑うと、しおりを握りしめた。





end



一応、リクエストの中の「幼少期のレイシン」をテーマに書きました。
よ、幼少期にちゃんとなってるのかどうか・・・すごく不安ですが・・・・。(汗)
今回は、レイシン小説で初めてレイ視線で書きました!なんか書きにくそうだなぁ・・と思いあえて挑戦しなかったんですが。
いざ書いてみると案外楽しい楽しい・・・!(笑)シン溺愛っぷりが表せておもしろかったです。

2005.01.18 Rinko