「キャーっ!レイ・ザ・バレルだー!やっぱかっこいいよねー!」

ふいに聞こえた声に、俺は思わず立ち止まった。振り返ってみてみると、女の子4、5人のグループが話し合っていた。

視線の先にはレイの姿。本人はそんな事を囁かれているとはしらず、飲み物を飲んでいる。

俺はさりげなく、その女の子達の側に座って聞き耳をたてる。

恥ずかしいけど、やっぱ気になってしまうのだからしょうがない。

「奇麗な顔してるよねー!本当!」

「あんな人が彼氏だったら幸せだろうなー」

「奇麗でかっこよくて優秀で!将来は約束されてるって感じだしね」

「結婚相手には十分すぎって感じ?」

「結婚相手かぁ。夢のまた夢だよー」

うっとりとした表情で女の子はレイをみつめている。

やっぱ、レイは人気者なんだよな・・・・・。あからさまに見せ付けられた現実に思わずため息がでてしまう。

そりゃあレイは誰がみたって、かっこいいし、優秀だし・・・申し分のないイイ男って感じだから。

女にモテモテなのは当たり前の事であって、今更気にする事じゃないのかもしれないけど。

やっぱ・・・おもしろくないってのが本音だったりする。

大体、レイのやつは自分がそんな風に思われてる事わかってないから問題だし。

きっと今の女の子は俺が同室ってのすごい羨ましがったりしてるんだろう。

ざまぁみろ!なんて腹のそこで思ってるのは内緒の事だけど。

何度目かのため息をついたとき、ぽんぽんっと肩を誰かに叩かれた。

「な〜にため息なんかついてんの?」

そう言ったのはルナマリアだった。そうして俺の隣に座り、持ってきたコーヒーを差し出す。

「ありがと」

素直にそれをうけとると、俺は暖かいコーヒーを一口飲んだ。

「レイって本当かっこいいわよね」

突然ルナマリアがそんな事を言うものだから、俺は思わずコーヒーを落としそうになる。

「冗談よ!冗談!」

笑いがならそう言った彼女に俺は少し拗ねたように顔を背けた。

今その冗談は俺には通じないっていうのに。

「シンの嫉妬ってわかりやすわよ。ずーっとあの子達の事睨みつけるようにみてんだから」

「え?俺そんな事してた?」

「してた」

そんな表情をした覚えはないが、どうやらルナマリアの言葉から俺が睨みつけていたらしいことがわかった。

無意識のうちになってしまっていたらしい。

なんだか無償に情けなくなってきて、また肩を落とす。

俺ってかっこわるい・・・・・・。

そんな落ち込んだ俺をルナマリアはバシっと背中を叩いて立ち上がった。

「そんな落ち込む事じゃないでしょ!シンの嫉妬なんて可愛いものだって。今日の事レイに話したら絶対喜ぶわよ」

そう言ってウインクをするとルナマリアは歩いていった。

レイに言う訳ないだろ!っと俺の無言の抵抗は無意味だったけど。

そうしてまたレイに俺は視線を戻そうとすると、さっきまでいたはずの場所にレイはいなかった。

「あれ・・・?」

思わず辺りをきょろきょろと見回してみる。

しかし、レイの姿はみつからなくて、もうどこかに行ってしまったんだとまたため息をついた。

「あーあ。レイのバーカ」

なんとなくこんな気持ちになったのもレイのせいだと思って、悪態をつく。

おまけにどこかに行ってしまったものだから、不満はあって、俺はつまんなそうに背伸びをした。

大きくのばした手が何かにあたった感じがした。

何かサラサラした感触がする・・・・・。

そう思って振り向くと、そこにはレイの姿があった。

思わずイスごと後ろに倒れそうになる。

その寸前でレイはイスごと体制をなおした。

「バカとは・・・随分だな」

聞いてたのか・・・・・。そう思ったが何故か俺は無言のままレイから顔を背ける。

「いつからいたんだよ!」

「ルナマリアがシンにコーヒーを渡したところぐらいから」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ルナマリアがコーヒーを渡したところ・・・・。思い出して俺はカァっと顔を赤くした。

とゆうことは、あの会話は全部聞かれてしまっていたというわけで。

俺が嫉妬してたとか・・・なんだとか・・・全部聞いてたって事だから。

俺はパニックになり恥ずかしさで死にそうだ。

そんな俺をレイはにっこり笑ってみつめると、背けていた俺の顔を上にむかせた。

座っている体勢から顔を上にむけさせられると、視界には上から覗き込むレイの顔があった。

サラサラの奇麗な髪が頬に少しあたってくすぐったい。

俺は片目をとじて、髪の毛の侵入を防ぐ。

「シンも俺に嫉妬してくれるんだな」

「べっ!別に・・・いつも・・してるわけじゃ・・・ないから!!」

大体、ここがみんなが集まる場所だっていうのにこの2人の体勢は明らかにおかしい。

今にも唇がふれそうで、誰かにみられてそうだと思うと赤面しっぱななしだ。

「レ、レイ・・・!!」

「なんだ」

必死に名前を呼んで離れるように目で促すがレイは微動だにしない。

むしろだんだん顔が近づいてきている。

ヤバイって・・・・!!!

そう思ってぎゅっと目を瞑った瞬間、唇が触れた。

「ふっ・・・・」

すぐに舌が侵入し、口内を犯す。

チュッと舌を吸われると、背筋がゾクゾクと仰け反った。

上をむいたままの姿勢は辛くて、段々苦しくなってくる。

そんな俺に気づいたのかレイは名残おしそうに唇を離した。

ツッと糸が2人の唇を繋いでいたが、レイが離れると途切れて消えた。

とろんとした感覚がしばらくあったが、俺はすぐに我に返り辺りを見回す。

感じるのは周りの視線だった。

「あ・・・!!!う・・・わ・・・」

俺はたまらなく恥ずかしくなり、イスから立ち上がると、猛スピードで部屋を飛び出し、自室にへと逃げ込んだ。

レイの大馬鹿ヤローーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

枕に顔を押し付け、未だに覚めない顔を火照りを消そうとする。

もう、ダメだ。周りにみられてしまった。

そう考えると益々温度は上昇する。

そんな時に部屋の扉が開きレイが入ってきた。

俺はキっとレイを睨みつける。

「レイのバカ!!何してんだよ!変態!!!!」

「つい・・・な」

つい・・・で俺のこの後のイメージ変えられたらたまったもんじゃない。

「俺もうみんなの前に出られない・・・・。レイのせいだからな!」

「シンが嫉妬してくれたのだと思うと、我慢ができなかった」

俺の言葉とは全く関係のない答えが返ってきて俺は一瞬思考が止まる。

「が、我慢しろー!」

「可愛いな、シンは」

俺が半泣きになりがらそう言うとレイはにっこりと笑って近づいてきた。

俺が怒っている事がわかっているのか、この人は。

「べつに見られても構わないだろ。見せ付けてやればいい」

「俺はレイみたいに考えられないんだって!」

「こんな風に可愛くなく姿とか・・・」

そうレイは囁くと俺の股間の辺りをヒザで押した。

「ひゃっ・・・!」

思わず上ずった声が出てしまう。そんな俺をレイは満足そうにみると慣れた手つきで服を脱がした。

晒された体が恥ずかしくて目を瞑る。

ふっと息を耳に吹きかけられて背筋に快感が走った。

ねっとりと耳を舐められると、くちゅっと水音がやけに響いてたまらない。

耳を侵しながらもレイは俺の胸の突起を指でつまんだ。

「あぁ・・・ん・・・」

ビクっと体が反応してしまう。さっきまで怒っていた感情はもう消されて残されたのは欲情だけ・・・。

こうなったら、知ってしまった快感に溺れるしかなかった。

耳を舐めていた舌が、そのまま下半身にへと流れると弓反りになる。

先走りで濡れて既に立ち上がっている俺自身にレイの吐息がかけられる。

「や・・・焦らさないで・・・」

直接的な快感が欲しくて思わず言葉にだしてしまう。

「さっきのキスで濡れてたみたいだな」

フっとレイは笑うと口の中に俺を含んだ。

生暖かい感覚と舌のザラザラとした感触におかしくなりそう。

「あっ・・んっ・・・あぁダメ・・・」

裏筋まで舐められると出るのは喘ぎ声だけで、自然に流れる涙も快楽の証。

こんな姿はやっぱ・・・レイ以外にはみられたくないって。

そんな事を思いながらも段々と絶頂へと追いつめられる。

「レ・・・イ・・もうっ・・あぁぁ・・イっちゃ・・う」

「出してしまえ」

そうレイが言うのと同時に俺はレイの口の中で果ててしまった。

荒い息を整えようと必死になっている時に、レイの長い指が俺の口の中に入る。

「んんぅ・・・ふっ」

唾液で濡らされた指は早く欲しいとヒクつく俺の中に入った。

「あぁん・・・はぁ・・ん!」

2本の指は、俺のイイ処を専属的に攻めていって俺の声は一際高くなる。

くちゃ  くちゃ  っと響く音さえも今は乱される要因の一つになってしまって、早くレイが欲しいと疼く。

「あ・・レイ・・も・・いいからっ・・あんっ」

「何してほしいんだ?」

そんな事を聞かれてしまうけど、もう恥ずかしがってる余裕はない。

欲しくて欲しくてたまらない。

「レイの・・・俺ん中にっ・・はぁ・・入れって・・・」

レイは笑うと俺を膝の上に座らせようと持ち上げる。

そのまま向かい合って座らせられた瞬間、突き上げてくる熱いものを感じた。

「あぁぁぁっ・・・はぁ・・あっ・・ああっ」

下からの突き上げに必死にレイの首に手を回す。

重力のせいで、いつもより奥に突かれてしまい、声も大きくなる。

開いた口はふさぐ事ができる余裕がなく、たまった唾液が流れていた。

「あぁぁ!!や・・・ダメ!あぁんっ」

前立腺を掠められると腰がガクガクと震える。

そんな俺をよそに、レイは段々と激しく突き上げると俺の唇をふさいだ。

「ふっ・・んっ・・・んん・・ふあ・・・ん」

ギシギシときしむベットの上でひたすら舌をからめあう。

レイの動きが一際激しくなった時、俺は白い液をとばした。

その直後に中で熱い温もりを感じる。

「はぁ・・・はぁ・・・・」

お互いの荒い息が部屋を包んだ。

「シンのイく顔は・・・やっぱり他の奴にはみせられないな」

「お、俺だってレイ以外にみられんのヤだよ!」

「それは・・・嬉しいな」

レイはくすっと笑うと俺の頭をなでる。

「だから!キスとかも・・・するなよ?」

「あぁ・・わかったよ」

やっとわかってくれたか・・・。そう思ったが、そもそも何故そんな事になったのかと考える。

と、自分がレイに嫉妬していた事を思い出してしまった。

だけど、セックスをした後ってなんか不思議と甘えたり、普段しないような事ができてしまう気持ちになる俺は、ぎゅっとレイの首に腕を回す。

どうしたものかと不思議そうなレイをそのままに、ぎゅっと強く抱きついた。

レイは無言のまま、背中に手を回してくる。

「レイは俺だけの・・・恋人なんだからなっ」

そんな俺の言葉にレイは一つ笑うと嬉しそうな声で言った。

「当たり前だ」

そして俺達はまた唇を交わした。





















end



いつもレイの嫉妬話を書いてるので今回はシンの嫉妬話を書きました。
単に嫉妬ネタが大好きなだけっていうわけでなんですが。(笑)
もうそろそろ嫉妬系以外を書かないとアレですよね・・・。次はパラレルでも書こうかと思ってますけども。
保険医レイ×生徒シンとか。あからさまにエロそうですが・・・。(笑)

2004 12.31 Rinko